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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第15章 【第十四話】言いかけた熱 


長い睫毛。

黒い眼帯。

少し疲れた目元。

力を暴走させた反動がまだ抜けていないのか、顔色も完全には戻っていない。

私はぼんやりと、その横顔を見つめていた。

「……ティファ」

「え?」

ラビが包帯を巻く手を止めないまま、低く呟く。

「そんな、じっと見んなって」

「見てただけよ?」

「だから、困ってんだって……」

喉の奥から零れたような声だった。

意味が分からないまま、私は少しだけ身を乗り出す。

「ラビ、さっきから本当に変――」

言いかけた瞬間。

ラビの手が、怪我をした右腕を避けるように腰へ伸びた。

「っ……!?」

視界が傾く。

次の瞬間、背中が柔らかな寝具へ沈んだ。

乱暴ではなかった。

けれど、逃げる暇もなかった。

「……ラ、ビ?」

気付けば、ラビがすぐ上にいた。

片腕を私の顔の横につき、こちらを見下ろしている。

近い。

触れそうで、触れない距離。

翠の瞳には、普段の軽い笑みなどなかった。

押し殺した熱だけが、真っ直ぐにこちらへ落ちてくる。

心臓が、一気に跳ね上がった。

「……っ」

息が詰まる。

近い。

近過ぎる。

ラビの呼吸の熱が、頬へかかる。

ラビ自身も、衝動のまま動いてしまったことに気づいたように、一瞬だけ固まった。

けれど、すぐには離れない。

逃がさないみたいに、私の左手首をそっと掴む。

「……いい加減」

低い声。

「少しは、自覚しろ」

私は混乱したまま、何度も瞬きをした。

「じ、自覚……?」

「無防備に近付いてさ」

「平気な顔して、オレのことそんなじっと見て」

ラビが苦しそうに息を吐く。

掴まれた手首から、彼の熱が伝わってくる。
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