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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第15章 【第十四話】言いかけた熱 


「……ラビ?」

気付けば、ラビの腕が私の腰をしっかり抱き寄せていた。

逃がさないように。

守るように。

そのまま、彼の胸元へすっぽり閉じ込められる。

「危な……」

低い声が、すぐ頭上から落ちてきた。

近い。

人波の喧騒が遠のくほど、ラビの腕の強さだけがはっきりした。

任務帰りの煤と、微かな火薬の匂い。

私は胸元に閉じ込められたまま、小さく息を呑んだ。

他人の視線から隠すみたいに。

囲い込むみたいに。

どく、どく、と鼓動が響く。

それが自分のものなのか、彼のものなのか、もう分からなかった。

「……もう大丈夫さ」

ラビがそう呟いても、腰へ回された腕はすぐには離れない。

むしろ無意識みたいに、ほんの少しだけ抱き寄せる力が強くなる。

小さく瞬きをして、ラビを見上げた。

はっとしたように、ラビが視線を逸らす。

「……悪ぃ」

けれど、その耳は隠しきれないほど赤かった。

その時、近くの露店の店主が、にやにやしながらこちらを見ていた。

「いやぁ、お熱いねぇ」

二人の身体が同時に固まる。

店主は楽しそうに笑った。

「特にお兄さんの方、さっきから恋人離さないよう必死じゃないか」

「……は?」

隣で、ラビがぴたりと固まった。

私は、自分の腰へ回されたままの彼の手を見る。

「ふふっ……確かに、全然離してくれないわね」

悪気なく笑った、その瞬間。

ラビの表情が目に見えて強張った。

「……ティファ」

ひどく掠れた声。

「なに?」

「……それ、分かって言ってる?」

「?」

意味が分からず瞬きを返すと、ラビは片手で顔を覆った。

深い溜息が落ちる。

「……マジで勘弁してほしいさ」

「??」

ますます意味が分からない。

店主だけが事情を察したみたいに愉快そうに笑っていた。

「兄ちゃん、大変そうだなぁ」

「うるせぇ……」

ラビがぼそっと返す。

その耳は、まだ赤いままだった。
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