第14章 【第十三話】夜明けまで、この手を
すると、ティファの指が無意識にきゅっと握り返した。
「ラビ……」
微かな声。
ラビの呼吸が止まる。
ティファは目を覚まさない。
ただ、握った手へ縋るように、少しだけ力を込める。
それだけで、苦しそうだった呼吸がゆっくりと落ち着いていく。
ラビは、しばらく動けなかった。
胸の奥が、痛いくらい熱い。
やがて、掠れた声が静かな病室へ落ちた。
「……いるさ。此処に……」
その瞬間、ティファの眉からようやく力が抜けた。
安心したように、握る力が少しだけ緩む。
ラビは空いた手で顔を覆った。
「勘弁してくれって……」
低く、苦い呟き。
なのに。
握られた手だけは、どうしても離せなかった。
ラビは敷布団へ戻ることもできず、ベッドの脇へ座り込んだまま、ティファの寝息を聞き続ける。
やがて、握った手の温度を確かめるように指へ力を残したまま、彼の瞼も静かに落ちていった。