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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第14章 【第十三話】夜明けまで、この手を


ラビは片手で顔を覆ったまま、しばらく動かなかった。

「……ティファ」

掠れた声。

「オレ、男なんだけど」

「知ってるわ」

即答すると、ラビが天井を仰いだ。

「……駄目だ。会話になんねぇ」

そう言いながらも、結局彼は椅子を少しだけベッドへ近付けた。

その距離は、さっきより近い。

それだけで、不思議と安心した。

病室へ、静かな雨音が落ち続けていた。

暖房の熱が、じわじわと冷えた身体を溶かしていく。

右腕はまだ痛む。

けれど、さっきまでのような息苦しさは少しずつ薄れていた。

その時だった。

こんこん、と控えめなノック音が響く。

「失礼します」

病室の扉が開いた。

先ほどの看護師だった。

その両腕には、毛布と簡易の敷布団が抱えられている。

私は思わず目を瞬く。

「……?」

看護師はラビと私を交互に見て、それから穏やかに微笑んだ。

「どうせそちらの方、別室へ戻る気ないでしょう?」

ラビが固まる。

「いや、オレは――」

「床なら使って大丈夫ですよ。宿直用のものですから」

にこやかに遮られ、ラビが言葉を失う。

私は思わず彼を見る。

ラビは珍しく、露骨に気まずそうな顔をしていた。

「……そんな分かりやすかった?」

「ええ、かなり」

看護師が静かに答える。

茶化すというよりも、全てを察した上で受け入れてくれているような声だった。

ラビは片手で顔を覆う。

「……マジかよ」

掠れた呟きに、私は思わず小さく笑ってしまった。

するとラビが、じろりとこちらを見る。

「笑い事じゃねぇんだけど……」

けれど、その表情は先ほどまでより少しだけ力が抜けていた。
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