• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第14章 【第十三話】夜明けまで、この手を


息が浅くなる。

私は無意識に毛布を握り締めた。

「……ティファ」

すぐ傍から、ラビの声が落ちる。

目を開ける。

彼は椅子に座ったまま、こちらを見ていた。

「眠れそうにねぇ?」

「……少しだけ、目を閉じるのが怖いの」

正直に答えると、ラビの瞳が僅かに翳った。

責任を感じたような。

あるいは、彼自身も同じ光景を思い出してしまったような表情だった。

「……ラビ」

ぽつりと呼ぶ。

「ん?」

「あなたは?」

ラビはしばらく黙り込んだ。

それから、弱ったように笑う。

「無理だな」

翠の瞳が、静かにこちらを見る。

「目ぇ閉じると、お前が消えんのが浮かぶ」

掠れた声が、静かな病室へ落ちた。

私は毛布を握る左手へ、少しだけ力を込める。

あの時のラビの顔が、脳裏へ浮かんだ。

空間が歪む中。

火判を暴走させながら、それでも私へ手を伸ばしていた姿。

胸の奥が、また小さく揺れる。

「……なら」

ぽつりと声が零れた。

ラビが視線を上げる。

私は少し迷ってから、ベッドの傍に置かれた椅子へ目を向けた。

「もう少し、近くへ来る?」

数秒。

完全な沈黙。

ラビの瞳が、ゆっくり見開かれていく。

「……は?」

「その椅子、遠いでしょう」

私は素直に続けた。

「近くにいた方が、ちゃんと休める気がするの」

悪気など、本当に一切なかった。

ただ、一人で椅子へ座っているラビが、妙に遠く見えたのだ。

けれど。
/ 537ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp