第14章 【第十三話】夜明けまで、この手を
「はいはい、患者同士で無理をしない」
年配の医師が、呆れたように割って入る。
「そっちの彼、火傷だけじゃない。相当深くまで熱が入っている。下手をすれば、しばらく指先の感覚が戻らなかったよ」
ラビが露骨に顔を顰めた。
「大袈裟さ」
「大袈裟じゃありません」
医師は即答した。
「あと数回、同じ使い方をしていたら、本当に腕が動かなくなっていてもおかしくなかった」
その言葉に、私は反射的にラビを見る。
ラビは気まずそうに視線を逸らした。
「……別に、まだ動くし」
ぼそりと返す。
「そういう問題じゃないでしょう」
思わず声が強くなった。
ラビが、ぴたりと黙る。
一瞬、妙に気まずい沈黙が落ちた。
けれど次の瞬間、ラビは観念したように小さく息を吐く。
「……分かったよ。そんな睨むなって」
少しだけ困ったように笑った。
その笑みに、胸の奥がまた小さく揺れた。