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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第13章 【第十二話】記録に残らない熱


ラビの肩が、大きく上下している。

呼吸が、噛み合っていない。

まるで、うまく息の仕方を思い出せないみたいに。

握り締めていた手が、震えていた。

火判の反動だけではない。

自分が何をしようとしたのか。

どれほど我を忘れていたのか。

その事実へ、今になって身体が追いついたみたいだった。

「……ラビ」

そっと名を呼ぶ。

返事はない。

けれど、乱れていた呼吸が一瞬だけ止まった。

私は傷付いた右腕を庇いながら、ゆっくり彼の前へ膝をつく。

触れるか、迷った。

けれど、伏せられた顔があまりにも苦しそうで、放っておくこともできなかった。

私はそっと、煤の付いた彼の頬へ指先を伸ばす。

触れた瞬間、ラビの肩がびくりと揺れた。

ゆっくりと、顔が上がる。

その翠の瞳は、さっきまでの怒りを引きずったまま、ひどく歪んでいた。

怒っているのではない。

怯えている。

そう気付いた瞬間、胸の奥が痛んだ。

「……怖かったんだ」

震える声が落ちる。

「お前がいなくなるのが……目の前で消えていくのが……っ」

ラビの手が、私の指を強く握り締めた。

折れてしまいそうなほど必死な力だった。

「記録するだけの俺じゃ……もう無理なんだよ……!」

掠れた叫びのような声。

次の瞬間、ラビの額が、縋るように私の肩へ押し当てられた。

火薬の匂い。

雨に濡れた団服の冷たさ。

そして、それとは不釣り合いなほど熱い呼吸。
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