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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第13章 【第十二話】記録に残らない熱


胸の奥が、静かに冷えた。

私は窓の外へ視線を向ける。

白く凍った景色が、汽車の速度に押し流されていく。

けれど、その向こう側に、アンナの村で見た霧が重なるように思えた。

音のない道。

輪郭の曖昧な家々。

呼び掛けても届かない、人の影。

「……前回と、似ているわね」

小さく呟くと、ラビの視線が僅かに動いた。

けれど、こちらへ完全に向くことはない。

「ああ」

短い返事。

「だから、油断はできねぇ」

彼の声は落ち着いている。

任務中の、冷静な声。

それなのに、私はその言葉の奥へ、別の何かを探してしまう。

昨日、彼が目を逸らしたこと。

食堂で、私を見て笑みを歪めたこと。

今も、必要な距離より一歩遠くへ座っていること。

考えないようにしても、胸の隅へ引っ掛かったまま離れなかった。

私は膝の上で、そっと指を重ねた。

窓硝子へ映るラビの横顔は、どこまでも静かだった。

けれど、不意に彼が口を開く。

「……ティファ」

「何?」

「何か感じたら、すぐ言えよ」

こちらを見ないままの言葉だった。

「前みてぇに、自分だけで抱え込むな」

その声音は、軽く聞かせようとしているのに、妙に硬かった。

私は一瞬だけ言葉を失う。

「……ええ。分かっているわ」

答えると、ラビは小さく息を吐いた。
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