第13章 【第十二話】記録に残らない熱
「現地までの経路、確認してる?」
「はい。北方線で終着手前の無人駅まで向かい、そこから徒歩でおよそ一キロです。遊園地へ入る前に、先行班が残した中継地点を確認する予定です」
「了解。現地で異常が出たら、測定器だけ見て動くなよ。数値が狂ってる可能性もある。変だと思ったら、すぐ声を出せ」
「は、はい!」
トーマスが勢いよく頷く。
ラビの声音は、すでに任務へ向かう者のものだった。
私との間へ落ちていた沈黙を、任務の言葉だけで覆い隠しているようにも見えた。
正門の方から、コムイさんとリーバーさんが姿を現す。
「揃っているね」
コムイさんは私たちの顔を順に確かめると、封筒を差し出した。
「遊園地周辺で異常が強まった場合、ゴーレムが正常に動ける保証はない。けれど、使えるうちは定時連絡を入れてほしい」
リーバーさんが封筒を示す。
「中には現地の見取り図、先行班の最後の通信記録、それから外周の待機地点と退路が書かれてる。何かあった時は、調査より帰還を優先しろ」
「分かりました」
私が答える。
ラビも頷いた。
「了解さ」
コムイさんの表情が、僅かに真剣さを増す。
「ティファちゃん。君のイノセンスが強く反応した場合でも、すぐに一人で動かないこと。必ずラビと状況を確認してから行動するんだ」
「はい」
「ラビも。君の判断に掛かる場面が多くなると思う。異常の記録は必要だけれど、優先すべきは三人で戻ることだ」