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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第12章 【第十一話】触れてはいけない距離


「……ラビ?」

呼び掛けると、彼の喉が小さく動いた。

「……こうなるから、嫌なんさ」

「え?」

「近くにいると、余計なことまで考えちまう」

掠れた声だった。

私は、息を呑む。

「余計なこと……?」

「知らなくていい」

ラビは、短く答えた。

けれど、手はすぐには離れなかった。

病室で、私を抱き寄せた時と同じ。

触れているのに、どこかで離れようとしている。

矛盾した熱だけが、掴まれた手首から伝わってくる。

「でも、あなたが苦しそうにしているのに、何も知らないままでは――」

「だから、知らなくていいんだって」

低い声が、私の言葉を遮った。

ラビは俯いたまま、苦しそうに息を吐く。

「オレが勝手に迷ってるだけさ。ティファが気にすることじゃねぇ」

「……そんな言い方をされたら、余計に気になるわ」

「気にすんな」

「無理よ」

思わず返した声が、思ったよりも強く響いた。

ラビが、初めて真っ直ぐ私を見る。

翠の瞳の奥に、何かが揺れていた。

怒りでもない。

悲しみとも違う。

けれど、触れてはいけないほど切迫した何か。

その色に、胸の奥が締め付けられる。

「……ティファ」

低く、名を呼ばれた。

それだけなのに、声が近かった。

ラビの指が、手首を掴んだまま微かに動く。

まるで、離すべきか、離したくないのか、自分でも決められないみたいに。
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