第11章 【第十話】巻き戻らない時間
「ティファ……今、笑ったな……」
「ご、ごめんなさい……っ」
謝っているのに、笑いは止まらない。
隣では、アレンも痛そうに頭を押さえながら、困ったように口元を緩めていた。
少し離れた場所で、リナリーも、兄の無事を確かめるようにコムイさんを見てから、ほっとしたように小さく笑った。
先ほどまで病室を満たしていた張り詰めた空気が、ほんの少しだけ解けていく。
けれど。
笑い声が落ち着きかけた、その一瞬。
ラビだけは、床へ座り込んだまま、黙って私を見ていた。
翠の瞳の奥には、まだ拭い切れない焦りが残っている。
私が無事でいることを確かめてもなお、消えてくれない何か。
その色を見た瞬間。
胸の奥へ、また小さな熱が残った。