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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第11章 【第十話】巻き戻らない時間


コムイさんが、申し訳なさそうに眉を寄せた。

「怖がらせたいわけじゃないんだ。ただ、これからは単独での行動を極力避けてほしい。」

「……分かりました」

そう答えた声は、静かだった。

怖くないわけではない。

むしろ、ひどく怖い。

けれど。

眠るリナリーの寝台の傍で、ただ怯えているわけにはいかなかった。

私が黙って喉元から手を下ろすと、コムイさんが何かを言いかける。

その前に、私は口を開いた。

「私の力で救える魂があるなら、逃げるつもりはありません」

自分の声が、静かな病室へ落ちる。

「でも……一人で背負えるとも、もう思っていません」

雪原で交わした言葉が、胸の奥へ蘇る。

一人で背負わないで。

二人で、生きて帰りましょう。

あの時、ラビへ伝えた言葉は。

きっと、私自身へ向けるべき言葉でもあった。

コムイさんの瞳が、僅かに揺れた。

やがて、柔らかく細められる。

「……そう言ってくれるなら、少し安心したよ」

その時だった。

ぞわり、と。

肌の上を、冷たい何かが這った。

喉の奥で、ニルヴァーナが鋭く震える。

先ほどまで残っていた熱とは違う。

敵意に反応するような、刺すような共鳴。

「……っ」

息を呑んだのと、ブックマンが鋭く顔を上げたのは、ほとんど同時だった。

「伏せろ!」

次の瞬間。

轟音と共に、病室の外壁が爆ぜた。
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