第10章 【第九話】空白の再会
「……アレン、もう大丈夫よ」
私は彼の手を包んだまま、そっと身を寄せた。
「私はここにいる。ようやく、会えたんだもの」
空いている方の手で、熱を帯びた額へ触れる。
白銀の髪を避けるように、ゆっくりと撫でた。
「だから今は、何も考えなくていいわ。あなたが眠れるまで、ここにいるから」
アレンの瞳が、僅かに潤んだ。
何か言いたげに唇が動く。
けれど、結局それ以上は言わず、彼は私の手を握ったまま、小さく息を吐いた。
「……もう少しだけ……傍にいてくれますか」
「ええ」
迷う理由などなかった。
「もちろんよ」
アレンの張り詰めていた表情が、ほんの少しだけ緩んだ。
その安堵を見た瞬間、喉の奥へ細い痛みが走る。
私は悟られないよう、浅く息を整えた。
別の任務で使ったニルヴァーナの反動は、まだ完全には引いていない。
けれど、今この手を離す気にはなれなかった。
会えなかった時間の分まで、彼は私の手を強く握っている。
その切実さを、仲間という言葉だけで片付けるには、あまりに深い気がした。