• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第10章 【第九話】空白の再会


思った以上に、声ははっきり出た。

受話器の向こうが、静かになる。

胸の奥へ、抑えきれない焦りが押し寄せた。

「リナリーも心配です。容態を確認するだけでも構いません。お願いします」

長い沈黙のあと。

コムイさんが、深く息を吐く音がした。

『……分かった』

「コムイさん……」

『君の現在地からなら、東行きの夜汽車へ乗り継げば、僕より先に病院へ到着できるはずだ。経路はゴーレムへ送る』

「ありがとうございます」

『ただし、約束してほしい』

いつになく強い声だった。

『君も任務帰りなんだ。到着したら、決して無理はしないこと。身体に異常があれば、すぐ現地の医師か僕へ伝えること。アレンくんやリナリーを心配するあまり、君まで倒れるようなことは認めないよ』

その言葉に、胸がきつく締め付けられる。

「……はい」

『それから、ティファちゃん』

「何でしょうか」

『アレンくんも、リナリーも、ちゃんと生きている』

息が止まった。

『だから、焦らなくていい。ちゃんと会えるよ』

その声の優しさに、張り詰めていたものが一瞬だけ揺らいだ。

私は唇を噛み、静かに頷く。

「……はい」

通話が切れる。

私は受話器からゴーレムを外し、胸元へ抱き寄せた。

予定していた本部行きの汽車には、もう乗れなかった。

会えるのなら。

ようやく、顔を見られるのなら。

そう思っていたはずなのに。

心臓は、嫌なほど速く鳴っていた。

私は荷物を抱え直し、夜の駅舎へ向かって歩き出した。
/ 537ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp