第8章 【第七話】肩を並べる約束
囚われていた魂。
救えなかった誰かの痛み。
けれど今度は、確かに解放できた。
私は荒い息を吐き、レイピアを下ろした。
光の刃が、細かな粒となって風へ溶けていく。
「……終わった……のね」
「みたいだな」
隣で、ラビが大槌を縮める。
その肩には、先ほど受けた傷からまだ血が滲んでいた。
私はすぐに彼へ向き直った。
「ラビ、傷を見せて」
「これくらい平気さ」
「あなたの平気も信用できないの」
「うわ、返された」
ラビが困ったように笑う。
けれど、私が黙って彼の肩へ手を伸ばすと、今度は避けなかった。
破れた団服の向こうに、赤く滲んだ傷が見える。
深くはない。
それでも、私を庇わなければ負わずに済んだ傷だ。
胸が、僅かに痛む。
「……ごめんなさい」
思わず零した声に、ラビの表情が変わった。
「それは禁止」
「でも」
「でもじゃねぇさ」
彼は軽く息を吐くと、傷のない方の手で、私の左腕を指差した。
先ほど、AKUMAの爪が掠めた場所。
裂けた団服の袖の下では、細い傷から赤が滲んでいる。
「ティファも怪我してる。けど、それはオレのせいか?」
「……違うわ」
「だろ?」
ラビは静かに笑った。
「二人で戦って、二人で戻るって決めたんだ。傷まで全部、どっちか一人の責任にすんな」