第8章 【第七話】肩を並べる約束
今は任務だ。
そこへ、別の意味を見つけようとするべきではない。
「ティファちゃん」
コムイさんが、改めて真剣な目で私を見た。
「今回は通常のAKUMA討伐とはいえ、初めての雪山任務だ。無理はしないこと」
その声が、僅かに強くなる。
「前回のように、自分の限界を越えてまで、一人で背負おうとしないこと」
胸が、微かに詰まった。
アンナの小さな手。
消えていった村。
最後まで、救い切れなかったもの。
それらを抱え込もうとして、私は自分の身体すら見失いかけた。
「……はい」
答えた声は、思ったよりも小さかった。
「ラビもだよ」
コムイさんが視線を移す。
「君は君で、無茶をしそうだからね」
「分かってるさ」
ラビは軽く答えた。
けれど、その声だけが、思ったよりも真面目だった。
そして。
「ちゃんと連れて帰る」
何気ないように落ちた、その一言。
胸の奥が、僅かに揺れた。
私は思わずラビを見る。
彼はもう、いつものように笑っていた。
けれど、私の視線を受けた瞬間、口元の笑みがほんの僅かに揺れる。
まるで、自分でも今の言葉を誤魔化しきれなかったみたいに。
「……私も、あなたとちゃんと帰るわ」
気付けば、そう答えていた。