第8章 【第七話】肩を並べる約束
前回の任務から戻ったあと。
私が鍛錬場で倒れかけた夜、ラビは、息が詰まりそうなほど強く私を抱き留めた。
――見てる前で、いなくなりそうになるなよ。
その声を、私はまだ忘れていない。
翌朝には、彼は何事もなかったように笑っていた。
けれど。
目が合うと、ほんの僅かに視線を逸らすことも。
私の喉元や顔色を、気付かれないように確かめることも。
気付いていないふりをするには、少しずつ難しくなっていた。
「……ラビが同行するの?」
「なんさ、その微妙な反応」
ラビが大袈裟に肩を落とす。
「普通、また一緒に任務へ行けるって分かったら、もう少し嬉しそうな顔してくれてもよくね?」
「驚いただけよ」
「本当に?」
「本当に」
返すと、ラビは面白そうに目を細めた。
その笑顔を見ていると、先ほどまで胸へ沈んでいた冷たさが、ほんの少しだけ和らぐ。
けれど、それを認めるのは、何故か少し落ち着かなかった。
コムイさんが、軽く咳払いをする。
「今回、確認されているのは通常のAKUMA反応だ。前回の村で起きたような存在消失現象との関連は、今のところ確認されていない」
その言葉を聞いた瞬間、喉の奥が僅かに熱を持った。