第7章 【第六話】この世界に繋ぎ止めて
即答だった。
「さっき倒れた奴が何言っても、説得力ねぇさ」
「……部屋で休むだけでは駄目?」
ラビは暫く私を見た。
呼吸を確かめるように。
顔色を確認するように。
やがて、小さく溜息を吐く。
「分かった。部屋まで送る。ただし、途中で少しでもふらついたら医務室直行」
「厳しいのね」
「誰のせいだと思ってんだよ」
ぶつぶつと言いながら、ラビは私へ手を差し出した。
私は少し迷ってから、その手を取る。
指先が触れた瞬間、彼の手が僅かに強張った。
けれど、すぐにしっかりと握り直される。
離さないように。
確かめるように。
「……行くぞ」
「ええ」
並んで鍛錬場を出る。
長い廊下のランプが、石床へ二つの影を落としていた。
私の歩調に合わせるように、ラビの足取りは普段より少し遅かった。