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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第2章 【第一話】雪に残る歌


師匠と歩いていた街道の脇に、小さな鳥の亡骸が落ちていた。

泥に濡れた羽。

冷たくなった小さな身体。

それを見た瞬間、胸の奥がきゅっと痛んだ。

母の姿が重なったのかもしれない。

私は足を止め、そっと鳥の傍へしゃがみ込んだ。

「……どうした」

少し先を歩いていた師匠が、面倒そうに振り返る。

「……鳥が……」

「死んでるな」

淡々とした返事。

それで終わるはずだった。

けれど、私はその小さな亡骸から目を逸らせなかった。

その時。

喉の奥へ、淡い熱が宿った。

「……っ」

あの日ほど激しいものではない。

怒りも、恐怖もない。

ただ、冷たくなった小さな命が、ひどく寂しく見えた。

旋律が、自然に唇から零れる。

柔らかな白銀の光が、鳥の身体を包み込んだ。

小さな亡骸から、ほんの僅かな光が浮かび上がる。

それは一度だけ私の指先の周りを舞い、夕暮れの空へ静かに消えていった。

私は息を呑んだ。

悲鳴はない。

苦しみもない。

母を送った時の光と同じ、穏やかな輝きだった。

それまで無関心を装っていた師匠が、初めて足を止めた。

ゆっくりこちらへ戻ってくる。

鋭い瞳が、私の喉元へ向けられた。

値踏みするような。

それでいて、何かを確かめるような視線だった。

「……もう一度やれ」

「……え?」

「歌え」

「でも……もう、死んでるものは……」

「今のを、自分の意思で出せるか試せって言ってんだ」

拒むことを許さない声音だった。

私は戸惑いながらも、もう一度息を吸う。

先ほどと同じように、歌を口にしようとする。

けれど、喉が震えるだけで、光は生まれなかった。

何度試しても、白銀の輝きは現れない。

師匠が小さく舌打ちした。

「無意識に出すだけじゃ、使い物にならねぇな」

「……使い物って……」
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