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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第6章 【第五話】存在を繋ぐ歌


「止まれ」

ブックマンの声に、足を止めた。

彼の視線の先には、村の広場と、そこへ隣接する小さな教会があった。

白かったはずの外壁は灰色に煤け、鐘楼の一部は崩れ落ちていた。

それでも、吊り下げられた鐘だけは残っている。

風もないのに。

ゆらり、と。

鐘が揺れた。

――ゴォン。

低い音が響く。

今度は、はっきりと聞こえた。

耳ではなく、身体の内側へ沈み込んでくる音。

喉を。

胸を。

心臓の奥を。

鈍く揺さぶるような鐘の音。

「……っ」

息が詰まる。

ニルヴァーナが、焼けるように熱を帯びた。

その瞬間。

広場の中央で、黒い霧が大きく揺れた。

地面へ落ちた影が、息を吹き返したように蠢く。

その中心で、何か小さなものが震えていた。

「……助けて……」

細い声。

私は息を呑んだ。

一人の少女が、石畳の上に蹲っていた。

年は、七つか八つほどだろうか。

色の薄い髪。泥に汚れた衣服。

小さな手の中には、何度も縫い直された跡のある布人形が握られている。

けれど、その身体は黒い霧に覆われ、輪郭の端が今にも溶けて消えてしまいそうだった。
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