第6章 【第五話】存在を繋ぐ歌
「んで、オレは?」
横から、明るい声が割って入る。
ラビがひらひらと手を振りながら、こちらへ一歩近付いた。
「ティファ、じじいにだけそんな丁寧な挨拶して、オレには何もなし?」
「昨日から十分に挨拶はしているでしょう?」
「それはそれ。これはこれさ」
相変わらずの軽口に、張り詰めていた空気が少しだけ緩む。
私は小さく息を吐いた。
「……ラビ。同行してくれるのなら、よろしくお願いするわ」
「任せろって。初任務の ティファを危ない目に遭わせたら、オレの名が廃るしな」
「任務なのだから、守られるつもりだけで行く気はないわ」
「お、言うねぇ」
ラビが楽しそうに笑う。
けれど、その笑みの奥で、翠の瞳が一瞬だけ冷たく澄んだ。
昨日から何度も感じている、明るい彼とは別の、乾いた静けさ。
ブックマンの横に立つ時、その気配はさらに濃くなるように思えた。
私は無意識に、団服の袖口を指先で掴んだ。
初任務。
分からない異変。
そして、何を考えているのか掴めない同行者。
胸の奥へ、小さな緊張が根を下ろしていく。