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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第2章 【第一話】雪に残る歌


容赦のない答えだった。

けれど、クロスは続ける。

「だが、魂は別だ」

「……たましい……?」

「お前の歌が、そいつの魂を送った。伯爵の手に渡る前に、誰にも汚されねぇ場所へな」

母を包んでいた白銀の光。

最後に、私へ触れるように揺れた輝き。

あれが、母だった。

「……私が……お母さんを……?」

「送った」

クロスの瞳が、今度は異形の残骸へ向く。

「ついでに、母親を殺したAKUMAも浄化したらしいな」

あの異形。

母を壊し、私へ襲いかかってきた存在。

その中から聞こえた、泣き声。

「……あの中に……誰か、いた……」

クロスの眉が僅かに動く。

「女の子みたいな声が……助けてって……」

髪紐を握る手が、震えた。

「私……あの子まで、殺したの……?」

クロスの瞳が、鋭くなる。

「違ぇよ」

低い声だった。

「お前が壊したのは、人間の魂を縛って動く兵器だ。中に囚われた魂は、お前の歌で苦しみから解放された」

「……でも……」

「聞こえたんだろ。最後の声が」

私は息を呑んだ。

――ありがとう。

本当に小さな、安らかな声。

「なら、忘れるな」

クロスは立ち上がった。

「それが、お前の歌で終わった苦しみだ」

幼い私には、あまりにも重い言葉だった。

母を救えたと言われても、嬉しくなどなかった。

異形の中にいた誰かを解放したと言われても、誇らしくなどなかった。

母はもういない。

腕の中には戻らない。

残っているのは、冷たい髪紐と黒い灰だけ。

私は顔を伏せ、声を殺して泣いた。

クロスはそれを止めなかった。

どれほど時間が経ったのか分からない。

やがて涙も声も尽き、ただ息を震わせている私へ、彼は短く告げた。

「灰を埋めるぞ」

「……嫌……」

「このまま雪に埋もれさせる気か」

冷たい声だった。

けれど、拒めなかった。
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