第41章 【第三十六話】記録者の帰る場所
ラビは、ティファを抱いたまま、歯を食いしばった。
目の前に、あの全ての元凶がいる。
けれど、腕の中には、ティファがいる。
動けない。
動くわけには、いかない。
その選択が、悔しいほど、身体へ刻まれた。
「では」
千年伯爵が、ゆっくりと振り返る。
笑った目が、こちらへ向けられた。
「ガキ共には、退場してもらいましょうねぇ」
次の瞬間。
足元が、崩れた。
「――っ!?」
ラビと、チャオジーの立っていた床が、一気に抜け落ちる。
身体が、沈む。
腕の中のティファごと、闇へ、引きずり込まれる。
その刹那。
ラビは、迷わなかった。
ティファの身体を、アレンへ向けて、押し出す。
「持ってろ……!」
短く、強い声。
アレンが、反射的に両腕を伸ばした。
ティファの身体を受け止めた衝撃で、体勢が大きく揺れる。
それでも、離さない。
抱え込むように、必死で支えた。
ラビの腕から、ティファの温もりが、離れていく。
その一瞬が、身を引き裂かれるように、怖かった。
「ラビ!」
アレンの叫び。
ラビの身体は、すでに闇へ落ち始めている。
チャオジーもまた、足場を失って落ちていく。
ラビは即座に、大槌小槌を伸ばした。
「伸――!」