第41章 【第三十六話】記録者の帰る場所
黒い一撃が、ラビを正面から捉える。
「が……っ」
血が溢れ、膝が崩れる。
「ラビ!」
アレンが斬りかかる。
だが届かない。
ティキは意にも介さず、アレンを弾き飛ばした。
膝をついたまま、ラビは絶望的な力の差を見上げた。
「……ヤバい。オレらが、どうこうできるレベルじゃ、ねェ……っ」
どうしたら――。
考えがまとまる前に、触手がアレンとラビを呑み込み、瓦礫へと叩きつけた。
その視界の端で、リナリーの身体が宙に浮く。
触手が首に巻きつき、ティキの目の前へ吊り上げていく。
「リナリーさん……!」
チャオジーが殴りかかる。
けれど、拳が届く寸前、塔の崩壊が二人の間を引き裂いた。
それでも、吊るされたリナリーの脚が、ティキの顔面を蹴り抜く。
ティキの手が緩んだ隙に、その身体が振り払われ、崩落の中へ落ちていく。
「リナリーさんっ!!」
そのリナリーへ、砕けた瓦礫が雪崩のように覆い被さる。
チャオジーが飛び込み、その両腕で受け止めた。
チャオジーの両手が、白い光を帯びる。
制御もされない、原石のイノセンス。
適合者に応え、目覚めていく。
軋み、砕けそうになりながら、チャオジーは瓦礫を押し上げた。
けれど――両腕が、塞がっている。
そこへ、ティキの攻撃が無防備なチャオジーへと向かった。