第5章 【第四話】黒衣に宿る祈り
短く返す。
ラビの笑みが、ほんの一瞬だけ止まった。
私の反応が、彼の想定より少し冷たかったのかもしれない。
けれど、すぐにリナリーが間へ入るように手を叩いた。
「はい、今日はここまで!ティファは昨日着いたばかりなんだから、疲れさせすぎちゃ駄目よ」
「賛成。腹減ったし」
「あなたは見ていただけでしょう?」
「見るのも結構体力使うんさ」
「嘘ばっかり」
リナリーの呆れた声に、ラビが笑う。
そのやり取りを聞きながら、私はもう一度、自分の手元を見つめた。
光の刃は、もう消えている。
それでも指先には、戦いの余韻と、二人の視線の感触が残っていた。
神田の、刃のような冷たい目。
ラビの、笑顔の奥で静かにこちらを測る目。
この教団での日々は、きっと穏やかなだけでは済まない。
そんな予感が、胸の奥へ小さく根を下ろしていた。