第46章 Team Up Mission ②
その日の朝、指定された駅の改札前には、どこか落ち着かない空気が漂っていた。
集合していたのは、ユカリと爆豪、そして出久の三人。
朝の駅前を行き交う人々の視線をなんとなく受けながら、出久が首をかしげて口を開く。
「誰なんだろう……今回のプロヒーローって」
「知らねぇよ。先生が言わねぇんだから分かるわけねぇだろ」
爆豪がポケットに手を突っ込んだまま、面倒そうに吐き捨てる。
ユカリも苦笑いを浮かべながら、今朝の相澤との会話を思い出していた。
◇
『え?指名ですか?』
職員室で書類を受け取った際、相澤はいつものように億劫そうな顔で溜め息をついた。
『ああ。“お前が来るなら他の雄英生を預かってやってもいい”と言われてな』
『誰なんですか?』
『まあ、行けばわかる』
◇
結局、名前すら教えてもらえないまま現地集合を命じられたのだ。
「せめて名前くらい教えてくれてもよかったんだけど……」
「ま、まあ相澤先生らしいと言えば、相澤先生らしいですよね」
出久が苦笑した、その時だった。
朝の雑踏を突き破るような、威勢のいい声が駅前広場に響き渡った。
「よお!待たせたな!」
ドカドカと豪快な足音を立てて現れたのは、褐色の肌に白い髪。
そして、頭から伸びたウサギの耳と、背中で揺れる尻尾。
ラビットヒーロー――ミルコだった。
「えっ……!?ミルコ!?あのNo.5ヒーローの!?」
出久が驚いて目を丸くする。
以前、遠征先で世話になったことのあるトップヒーローの登場に、ユカリもぱっと表情を明るくした。
「お久しぶりです、ミルコさん」
「おう、久々だなユカリ!」
ミルコはニッと八重歯を覗かせて笑う。
そのまま大股で歩み寄るなり、ユカリの肩を掴んだ。
「つーか、お前。相変わらず華奢だなー」
「そうですか?」
「そうだよ。ちゃんと飯喰ってんのか?」
言いながら、肩から二の腕、背中へと手を移し、まるで身体の仕上がりを確かめるように軽く叩く。