第45章 誕生日
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3年寮は、すっかり誕生日パーティーの準備一色になっていた。
「通形、そっちの飾りお願い!」
「任せて!」
「そこに飾りつけたら可愛いんじゃない?」
「ほんと!?じゃあこっちもやろう!」
色とりどりの飾りが次々と取り付けられ、テーブルには料理を並べるためのスペースが作られていく。
キッチンからは、準備を進める音まで聞こえてくる。
その中心にいるのは――もちろんユカリ。
……なのだが。
「私も何か手伝うよ」
ユカリが飾りを手に取ろうとした、その瞬間。
「ダメ!」
「主役は座ってて!」
「今日はユカリのためのパーティーなんだから!」
「でも、私も一緒に準備したほうが――」
「ダーメ!」
「ユカリは何もしなくていいの!」
あっという間に、飾りを取り上げられる。
ソファに座らされたユカリは、忙しそうに動き回るみんなを眺めるしかなくなった。
「…………」
しばらく大人しくしていたものの。
「……私、今日ほんとに何もしなくていいの?」
「いいの!」
ねじれが即答する。
「みんなやりたくてやってるんだから!」
「………ふふっ」
思わず笑ってしまう。
自分の誕生日のために、こんなにもたくさんの人が動いてくれている。
それが嬉しくないはずがなかった。
「……あ、じゃあ買い物に行ってきてもいい?」
「買い物?」
ミリオとねじれが顔を見合わせる。
「じゃあ環、一緒に行ってあげてよ!」
「……俺?」
突然振られた環が目を瞬かせる。
「だって今日、ユカリの誕生日だし!一人で行くより、誰かと一緒のほうがいいでしょ?」
「……まあ、それなら」
環は小さく頷いた。
「じゃあ、行く?」
「うん」
ユカリも素直に頷き、二人で玄関へ向かう。
その時、キッチンから声が飛んできた。
「……気ィつけろよ」
ユカリは振り返って、小さく笑う。
「うん。行ってくるね」
そうして環と並んで、玄関へ向かった。