第11章 合宿
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合宿施設前。
片付けを終えたバスの前は、少しだけ静かだった。
「じゃあ解散だな」
相澤の言葉に、どこか名残惜しい空気が流れる。
夏休み合宿は終わる。
ここから先、3年生は本格的なインターンや個別訓練で全員バラバラの動きになる。
つまり。
次にまともに会えるのは、夏休み明け。
その現実が、じわじわ効いてきた。
「…………」
爆豪は黙ったまま。
かける言葉が浮かばないのだ。
隣の轟は、少しだけ間を置いて口を開く。
「……ユカリ先輩。夏休み、会えないんですね」
その言葉には、隠しきれない寂しさが混ざっていた。
ユカリは轟を見て、少し困ったように笑う。
「うん、3年はインターンとかあるしね」
轟は目線を落とす。
爆豪は舌打ちしそうで、しない。
その空気を察したのか、ユカリは軽く手を振った。
「あ、でもね、連絡はできるよ?」
「え?」
二人が同時に顔を上げる。
ユカリはスマホを出して笑う。
「連絡禁止とかじゃないし」
「普通に送っていいからね」
その一言で。
爆豪の眉が少し動く。
轟の目も、ほんの少しだけ明るくなる。
「……そりゃそうだろ」
爆豪はそっぽを向きながら言う。
でも、少しだけ声が軽い。
轟は静かに言った。
「送ります。だから、返してくれると嬉しいです」
ユカリは思わず笑ってしまう。
「うん、ちゃんと返す」
その返事に、二人はやっと安心した顔をした。
「じゃあ、またね」
バスが動き出す。
夏の終わりの少し手前。
離れる距離はあるのに。
つながりだけは、もう切れそうになかった。