第2章 二人の後輩
「今日、髪巻いてましたよね」
轟がふと言った。
「えっ、気づいたの?」
「はい。朝見た瞬間可愛いと思いました」
「っ!?」
直球すぎる。
ユカリが顔を赤くしていると、爆豪がイラついたように口を開く。
「テメェ、距離感バグってんぞ」
「本当のこと言ってるだけだ」
「ンだと!?」
「あはは……」
二人が言い合う横で、ユカリの鼓動だけがうるさい。
すると突然、爆豪が立ち止まった。
「……先輩」
「え?」
爆豪はじっと見つめてくる。
赤い目が真っ直ぐで、逃げられない。
「今日、かわいすぎ」
「………え?」
「だから他の男に見せたくねェ」
耳まで真っ赤なのに、視線だけは逸らさない。
そんな顔されたら反則だ。
ユカリが言葉を失っていると、轟が静かに追撃する。
「俺も思ってました」
「轟くんまで!?」
「今日ずっと見てました」
「な、なんで!?」
「好きだからです」
さらり。
呼吸をするみたいに言う。
ユカリの顔はもう限界だった。
「〜〜〜っ!!」
両手で顔を隠すと、二人が同時に固まる。
「……かわい」
「反則です」
「だからそういうのやめてぇ!!」
夕焼けの帰り道に、ユカリの悲鳴が響いた。
けれど二人は嬉しそうに笑っていた。
完全に、“惚れた女を落としに来ている顔”だった。