第23章 演劇祭
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放送後の1年A組で。
「なあ、八百万」
ロミジュリの知識に乏しい切島が声をかける。
「ロミジュリって恋愛悲劇なんだよな?じゃあ2人が幸せになるシーンとか全くねぇの?」
待ってました。
そう言わんばかりに八百万百が立ち上がる。
「いいえ!そこが今回の見せ所ですわ!」
教室が静まる。
八百万のロミジュリ講座がまた始まった。
「実際にロミオとジュリエットが出会い、恋に落ち、式を挙げるまでの日数はほんの一瞬、まばたきする間に流れますわ。ですが!」
バンッ。
机を叩く。
「それをいかに、お互いの愛が本物だったか観客に証明できるか!これが真のカギとなりますの!」
「おお〜……」
感心するクラス。
「な、なるほど……深いんだね、この話」
マキューシオ役を任されている出久は、もうメモを取り始めている。
『愛の説得力が重要』
『短期間で恋愛感情を表現』
『演技力』
カリカリカリ。
非常に真面目である。
その様子を見ていた切島がふと隣を向いた。
「へー。だってよ、爆豪」
教室が一瞬静かになる。
なぜそこで爆豪を見るのか。
みんな分かっていた。
だが、誰も言わない。
爆豪だけが不機嫌そうに顔を上げる。
「あ?なんで俺見んだ」
「いや別に?」
切島はにやにやしている。
「ロミオ役の轟がさ?短期間でジュリエットのユカリ先輩に恋して愛を証明するらしいから」
教室の空気が変わる。
出久が嫌な予感で顔を上げた。
芦戸が笑いを堪えている。
上鳴はもう吹き出しそう。
爆豪は数秒黙った。
そして。
「知るか」
一言。
「演劇だろうが何だろうが勝手にやってろ」
そう言って窓の外を見る爆豪。
だが、耳だけは完全に会話を聞いていたのだった。