第23章 演劇祭
***
1年B組。
放送終了直後の教室は盛大にざわついていた。
「うわー!」
「マジで轟がロミオじゃん!」
「ユカリ先輩ジュリエットだって!」
「天喰先輩ティボルト!?完璧じゃね!?」
みんなが好き勝手に感想を言い合う中――
一人だけ。
とても嬉しそうな人物がいた。
物間寧人である。
「いやぁ〜!」
立ち上がる。拍手までしている。
「素晴らしいね!」
嫌な予感しかしない。
B組全員が思った。
そして案の定、物間は笑顔で続けた。
「A組はついに演劇にまで青春を持ち込み始めたようだね!」
「物間やめな」
即座に拳藤一佳が止める。
しかし止まらない。
「ロミオとジュリエット!なんて素敵な題材なんだろう!」
「しかもロミオは轟くん!」
「ジュリエットはユカリ先輩!」
「さらに周辺人物に緑谷くんと天喰先輩!」
物間は机に手をついた。
「もうこれは演劇じゃない!」
嫌な間。
「実録恋愛群像劇だよ!!」
物間の発言に、教室大爆笑。
「やめろって!」
「物間!聞かれたら怒られるぞ!」
それでも物間は止まらない。
「A組の皆は今どんな気持ちなんだろうねぇ!特に爆豪くん!出演すらしていないのに観客席から見守る立場とは実に――」
そこまで言った瞬間。
ゴッ。
拳藤の拳が後頭部に落ちた。
「痛ぁっ!!」
「余計なこと言うな!」
「だって気になるじゃないか!」
物間は頭を押さえながら抗議する。
「想像してごらんよ!舞台上で轟くんがユカリ先輩に愛を囁くんだよ!?」
「うわぁ、それは確かに空気凍る」
「しかも緑谷くんまでいるし」
「天喰先輩もいるし」
B組もだんだん乗ってきている。
拳藤が頭を抱えた。
「お前らも乗るな!」
しかしもう遅い。
物間は完全復活していた。
「いやぁ〜!今年の演劇は絶対に最前列で見たいね!特にA組の反応を!舞台よりそっちが見たい!」
また拳藤の拳が飛ぶ。
「痛っ!」
B組の教室は今日も笑いに包まれていた。