第23章 演劇祭
そんな中。
切島がひらめいたように、ぽんと手を叩いた。
「要はロミオに轟を推すならさ!轟の友人になるってことだろ?なら緑谷とかいいんじゃね!?」
教室の視線が一斉に出久に向く。
「えっ、僕!?」
完全に油断していた。
「無理だよ!?」
「だって友情で命張る役だろ?男らしいじゃねぇか!」
「そういう問題じゃないよ切島くん!?」
出久の声が裏返る。
だが、その時。
芦戸が何かに気付いた顔をする。
「え、待って待って」
全員を見る。
「もし轟がロミオで、緑谷がロミオの友人で、天喰先輩がジュリエットの従兄で、ユカリ先輩がジュリエットなら――」
静寂。
「なんかめちゃくちゃ王道じゃない!?」
ざわつく教室。
「確かに……!」
「リアル青春だな!」
「映画みてぇ!!」
「やめてぇぇぇ!!」
出久はひとり机に突っ伏した。
その頃の3年A組では。
ユカリがねじれに「なんか今日1年生の視線多くない?」と首を傾げていた。
ユカリはまだ知らない。
自分がジュリエット候補筆頭として、全校規模で名前を書かれ始めていることを。