第23章 演劇祭
そんな中――
「皆さん!」
ガタンッ!
勢いよく立ち上がった人物がいた。
八百万百である。
妙に気合いが入っている。
「ロミジュリは、ロミオとジュリエットだけではありませんわよ!」
教室が一瞬で静まる。
なんだなんだと全員が振り向く中、八百万は胸に手を当てて続けた。
「大事なのはロミオの友人とジュリエットの従兄ですわ!」
「おお……?」
なぜか納得しかけるクラスメイトたち。
八百万は黒板の前に進み出る。
もはや授業。
「ジュリエットの従兄・ティボルトがジュリエットを想うあまり、ロミオの友人・マキューシオと口論になり――マキューシオを殺す」
「おお……」
「そしてそれに怒ったロミオがジュリエットの従兄・ティボルトを殺す」
「おお……」
だんだん引き込まれている教室。
八百万の説明が上手い。
「つまり!」
ビシッ!
投票用紙を指差した。
「とても大事な役回りですわ……!」
熱い。いつもの八百万の三割増しで熱い。
そして、しばらくの沈黙の後。
「確かに」
と最初に頷いたのは飯田天哉だった。
「それはストーリー上極めて重要な人物だ!」
「そうですわ!」
賛同を得られた八百万は大満足だった。
その横で上鳴が首を傾げる。
「でもさ、誰が合うのよ?その従兄役」
しばらく教室が考え込む。
すると。
「爆豪じゃね?」
誰かが言った。
静寂。
そして。
「あーーーーーー」
教室のあちこちから納得の声。
「口論から発展する速度早そう」
「むしろ秒で斬りかかりそう」
「従兄側似合う」
「なんでだよ」
後方から低い声。爆豪である。
「俺ァ人殺し役確定みてぇな流れになってんじゃねぇか」
「だって怒るじゃん」
「いつも怒ってる」
「でも爆豪に演技は無理じゃね?」
「それはそう」
「無理だな」
「殺すぞテメェら」
教室が笑いに包まれる。