第20章 保健室当番
相澤は無言で保健室前を見回す。
「ユカリ先輩かわいかった……」
「白衣やばい……」
「写真撮れなかった……」
そして低い声で言う。
「じゃあ何でこんなことになってんだ」
ユカリは苦笑いする。
「えっと……」
説明しづらい。
すると、上鳴がそっと手を挙げた。
「……俺です」
「お前か」
峰田も縮こまる。
「つ、ついテンションが……」
「テンションで保健室崩壊させるな」
正論。周囲で笑いが漏れる。
相澤はじろり、と爆豪と轟を見る。
「あとお前ら、問題起こしすぎだ」
爆豪は舌打ちする。
「先輩が悪ィ」
「は?」
ユカリが目を丸くする。
「なんで!?」
「白衣で保健室とか反則だろ」
さらに赤くなるユカリ。
「し、知らないよそんなの!!」
轟も静かに頷いた。
「今日ここ来た男子、多分全員やられてると思います」
「やられてるって何!?」
出久はもう何度目かわからないツッコミをする。
相澤はまた深いため息を吐いた。
「ユカリ」
「はい……」
「何度も言うが自覚持て」
「はい……」
相澤は疲れた顔で指摘する。
「お前、自分がどれだけ影響力あると思ってる」
「そ、そんなにないですよ?」
「「「「ある!!!」」」」
周囲の生徒たちの大合唱に、ユカリはびくっと肩を震わせた。
「なんでそんな揃うの……」
切島が苦笑する。
「いや先輩、それはあるっスよ……」
上鳴も頷く。
「しかも今日白衣でしょ。破壊力やばいってほんと……」
さらには女子たちまで同意。
「普通に見惚れた」
「めっちゃ綺麗だった……」
ユカリはもう限界だった。
「やめてぇ……!!」
カルテで顔を隠すユカリ。その姿すら可愛い。
爆豪がぼそっと呟いた。
「……可愛すぎんだよ二度と着んな」
轟も小さく。
「俺は白衣姿ずっと見てたいです」
「もう黙れお前ら」
相澤、制圧。そして最後に。
「全員解散」
低い声が保健室に響いた。
「保健室は恋愛イベント会場じゃねぇ」
一斉に散っていく生徒たち。
だが去り際、みんな思っていた。
――今日の保健室、伝説だったな。と。