第4章 張り合う二人
放課後の資料室。
静かな室内には、紙をめくる音とペンの走る音だけが響いていた。
「……なるほど、敵の行動パターンを読む時って、個性だけじゃなくて心理面も見るんですね」
真剣な顔でメモを取っているのは、緑谷出久。
向かい側には、ユカリが座っていた。
「うん。特に実戦だと、焦ってる人ほど視線に癖出るから」
「は、はい……!!」
出久の目がキラキラしている。
憧れの三年生で、しかも現場経験も豊富なユカリの話は、彼にとって宝物みたいなものだった。
「すごいなぁ……ユカリ先輩って、本当に周りよく見てるんですね」
「そんなことないよ」
「あります!!この前の救助訓練も――」
話しながら、出久は夢中でノートを書き続ける。
ユカリはその姿を見て、ふふっと笑った。
「出久くんって本当にヒーロー好きだよね」
「えっ!?あ、はい!!」
「そういうところ、すごく素敵だと思う」
「………っ!?」
出久、停止。
耳まで真っ赤になった。
「す、す、素敵!?ぼ、僕が!?」
「うん」
にこっと笑うユカリ。
致命傷。
出久が湯気を出しそうになっていた、その時。
ガラッ!!!!!!
資料室のドアが勢いよく開いた。
「デク!!テメェ何してやがる!!」
爆音みたいな声。
現れたのは、爆豪。
その後ろには、静かな圧を纏った轟もいる。
「えっ!?かっちゃん!?」
「爆豪くん?轟くん?」
ユカリがきょとんと瞬きをする。
だが二人は、なぜか空気が怖かった。
爆豪の視線が、机を挟んで座る二人を見て細くなる。
「……何してた」
「ひ、ヒーロー活動について教えてもらってただけだよ…!?」
「ほんとかァ?」
「ほ、本当だよ…!」
轟は静かに出久の顔を見る。
「顔赤いぞ緑谷」
「!!?」
出久、終わった。
「ち、違うよ!? これはその、ユカリ先輩が近くて……いや違くて!!」
「あ!?」
「緑谷」
二人とも圧が怖い。