第6章 十一年後の君に捧ぐ、最初の敬礼
あの日、調査兵団の本部に突然現れたそのガキは、ひどく奇妙な奴だった。
着ている制服は10年前の古い支給品。取り囲む兵士たちが俺を「リヴァイ兵長」と呼ぶのを聞いて、そのガキ――は、見たこともないほど目を見開いた。
「リヴァイ……兵長? 私のいた時代には、あなたみたいな凄い兵士、いなかった……」
話を聞けば、835年の訓練中に頭を強く打ち、気づいたら10年後の未来に飛ばされていたのだという。
当然、10年前の過去に生きるこいつが、未来の俺の名前など知るはずもなかった。
最初は頭のイカれた不審者かと思ったが、身元を調べると確かに10年前の記録にその名があった。
そして、今は昏睡状態だという。
「あなたは、本当に強くて、少し怖いね」
そう言って笑うと、調査兵団のクソ忙しい日々の中で、ひょんなことから言葉を交わすようになった。
生意気で、危なっかしくて、けれど誰よりも真っ直ぐなその瞳を、気づけば俺の目が追うようになっていた。
未来だの過去だのどうでもいい。俺はただ、目の前のこいつを愛してしまっていた。