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HQ短編集

第3章 恋愛の三種の神器を語っていたら、目の前の男が全部持っていた話



「三種の神器って知ってる?」
「しらん」
「もう私は絶対失敗したくないの、だからこれは絶対譲れないの」
「その話長なる?」
「食と笑いとセックスだけは最低条件かつ最重要条件にしようと思います!!ご清聴ありがとうございます!!」
「ここで街頭演説せんとってくれ」


酔っているわけではない。目の前には濃いめのお茶しか置いてないし。お酒は嫌いだし飲めないし。

数分前まで大好物が2つ乗っていた器を治に突き出して、おかわりの変わりに声高らか宣言した私の決意は彼の眉をしっかり寄せるだけだった。そこまで嫌そうな顔しなくてもいいでしょ、傷つくわ。

おにぎり宮のカウンター、いつも閉店間際に訪れる理由はひとつ。私しかいないのを逆手に取った自分の素晴らしいネタを披露するためだ。主に恋愛方面で。


「なんやまた振られたんか」
「振られてない。私が振ったの、ていうか捨てたの」
「今度はどんなクソやってん」
「笑いのツボは同じだった。あとは全部クソだった」


デカさだけをまるで雄の象徴のように豪語して女はそれを喜んで受け入れると思ってる独りよがりなアホ。

私が作ったものに一々ケチをつけた、野菜は危険とのたまう偏食野郎。そのくせ自分は台所に立つと言う概念を母親の腹の中に忘れてきたんじゃないかと思う亭主関白っぷりにほとほと嫌気がさしたのはつい数週間前。

泣き喚いてブチ切れてそのまま別れてやったと、ちょうど追加のおにぎりをテーブルに置いてくれた治に捲し立ててやれば、そもそもなんで付き合うたん。呆れた表情までつけて聞かれたけど私が聞きたいわ、なんであんなクソと付き合ったの。


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