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HQ短編集

第1章 どれだけ持論を披露しても侑の執着に全部溶かされちゃう話



この世に純愛なんて存在しないし、一途の裏に隠れた本音は情しか残ってない。惰性や慣性に浸り続けると、関係を精算して新たにスタートを切ることの面倒さたるや。

だからそう見えるだけ。

出会って何年、何十年。この人と一緒で幸せです。

と、見えるだけ。

SNSの円満カップルや夫婦の常套句なんて、使い古された広告のキャッチコピーと大差ない。

人は心底理解ができないものを目にすると、本気で嫌悪感が湧く生き物なんだよ。


「だからあんたの言葉は何年経っても私には響かないんだと思うよ?」
「あ、やっと終わった?今日はよう喋るなぁ、聞いてへんかったけど。嫌なことでもあったんか?」
「今この空間がめちゃくちゃ嫌なだけ」
「さっきまで気持ちようなっとった奴のセリフとちゃうでそれ」


情事後の艶っぽさも名残りで燻る内側の熱も冷めやらぬまま矢継ぎ早に持論を展開する私を、乱れたシーツの上で、呼吸すら乱れていない彼は、まーた始まったわと、もう呆れることさえしなくなった。

腐るほど繰り返す攻防戦には何も意味など持たないのに、それでもこの男は毎回同じ。

毎回同じ瞳をむけて、色のついた声で、大事に大事に私に触れるんだ。


「あんたの何が厄介って、侑くんのこと好きにならんようにって張ってる予防線じゃないんよな」
「そんなもの張る必要ある?」
「本気で思っとるとこがホンマにめんどい」
「面倒くさくない女なんていないから」

まぁでも、そのほうが俺は燃えるからええけどな。



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