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HQ短編集

第5章 恋愛の三種の神器を語っていたら目の前の男が全部持ってた話②



「お前今日泊まる?」
「泊まんないよ帰るよ明日も仕事だもん」
「無事に帰れたらええけどなぁ」
「帰れるに決まっ、…て、ちょっと待ってこれ再放送やってたんだ、やば」
「………」


まんまと連行された彼の自宅のリビング、男にしては随分と整理されている部屋で、そう言えば初めて入ったなと忙しなく視線を動かしていると、後ろから羽交締めにされた。

そのまま倒れ込むようソファーに沈むも、離す気配も見せない、かと言って何か喋ることもない。ただ無言で私の首筋に顔を埋めた治はそのままうんともすんとも動かなくなった。

どれぐらいそうしていたのか、目一杯吸って吐き出した彼の熱い息と一緒に、触るで、と聞こえた声。跳ねそうになる体を必死に押さえつけ、テレビ付けていい?返事も待たずにリモコンの電源ボタンを押したのは、決して緊張しているからではない、はず。


「なぁ」
「んー?」
「俺さっきからヤラシイことしとんのに、お前はなんでそんな普通やねん」
「え、ちゃんと気持ちいいよ?」
「やからそれ、なんで普通に返事できんねん」


後ろから抱えられるように座った私のスカートの中に無遠慮に入ってきたくせ、太ももを撫でる治の手は異様に優しかった。

上下に行ったり来たりを繰り返しながら、もう片方の手は器用にブラホックを引っかける。

圧迫感から解放された胸の1番高いところを指の腹で執拗に弄られ、硬くなったタイミングでショーツの隙間から侵入してきた指は迷うことなく突起を弾いた。

この一連の動作をテレビの騒音が塗れる一室で、ムードもくそもない中始まったんだから、そりゃあ彼の言い分も分からないでもないけど、治だって今日泊まる?なんて雑談してたじゃない。

それになんで普通に返事できるんだと聞かれても、答えなんて一つしかない。

普通に返事してるフリをしているだけだ、それも必死で。


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