第9章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ II **
……絶対に。
そう答えたものの、どうすればいい?
姑獲鳥の残穢を辿れば、居場所を突き止められるか?
いや、相手はこの十年間、五条先生ですら居場所を掴めなかった呪霊だぞ。
そう簡単に追跡できるとは思えない。
くそっ、考えろ。
一刻も早く、を見つけないと。
俺はノートを閉じ、指を絡ませて印を結ぶ。
「玉犬」
「鵺」
影が波打ち、玉犬が飛び出し、続いて鵺が大きな翼を広げて姿を現した。
俺はしゃがみ込み、玉犬たちの鼻先にのノートを近づける。
「匂いでも、気配でもいい」
玉犬たちがノートに鼻を寄せ、すんすんと嗅ぐ。
上空を旋回し始めた鵺も、俺の言葉を待っていた。
「を探せ」
俺の命令に、玉犬たちが低い唸り声を上げて駆け出していく。
鵺も大きく羽ばたき、上空から商店街の奥へと飛んでいった。
頼む。
何でもいい。
手がかりさえ掴めれば――。
ふと、五条先生に目を向けた。
さっきから妙に静かだった。
いつもなら何かしら口を挟んでくるくせに、今は腕を組んだまま、じっと一点を見つめている。
「……先生?」
「…………」
「五条先生」
「……ん? ああ、ごめん」
ようやくこちらを向いたものの、その表情はどこか険しかった。
「何か分かったんですか?」
「いや……ちょっとね」
五条先生はそう言うと、再び姑獲鳥の残穢が漂う方へ視線を戻した。
「……恵。一旦、高専に戻ろう」
「…………は?」
五条先生を睨んだ。
何を言ってるんだ?
「まだ、が見つかってないんですよ」
「うん。分かってるよ」
「だったら、なんで戻るんですか!?」
自分でも驚くほど、声が荒くなる。