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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第9章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ II **


「はどうした!? お前、見てたのか!?」

「い、痛いっ! ちょっと、伏黒くん……!」

「……悪い」



我に返って手を放すと、同級生は掴まれていた肩を押さえながら、震える声で話し出した。



「一体、何なのよ……あれ……。音では何言ってるかわからないのに、意味はわかって。『この子を傷つけるものは許さない。殺してやる』って……! 私、怖くて動けなくて……。そしたら、さんが……あいつの前に立ったのよ……っ」



どういうことだ?
姑獲鳥は、を狙って現れたんじゃないのか?

なんで、じゃなくこいつを殺そうとする?



「それで、は?」

「さんを羽で包み込んで……。気づいたら、二人ともいなくなってた……」



同級生はそこで言葉を切ると、何かを思い出したように抱えていた鞄の中を探り出す。



「……あ、これ」



取り出した一冊のノートを、俺に差し出した。



「さんが、私に渡してきたの。あの化け物が近づいてきた時に……」



青紫色のカンパニュラが描かれた表紙。

見間違えるはずがない。
俺がに買ってやったノートだ。


ノートを受け取りページを開くと、見慣れたあいつの字が残っていた。



『にげて』



……。
お前、こんな時まで他人の心配してんじゃねぇよ。


の書いた文字を指でなぞる。
姑獲鳥が迫る中、必死にこの文字を書いたであろうあいつの顔が浮かんだ。



「お二人はこちらへ。安全な場所までお送りします」



補助監督が声をかけ、同級生とその連れの男を規制線の外へ誘導し始める。
同級生は数歩進んだところで足を止めた。



「……伏黒くん。さん、助かるよね?」

「ああ、絶対に助ける」



同級生は張り詰めていた表情を緩め、小さく頷いた。
補助監督に促されて歩き出すその背中を見送りながら、俺は手の中のノートを強く握りしめた。
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