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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**


𓂃 side:伏黒恵 𓂃



扉が閉まったと同時に、の身体を扉へ押しつける。



「伏黒く――」



最後まで呼ばせず、唇を塞いだ。




さっきまで、本を渡したら、それで今日が終わると思ってた。

あとは「おやすみ」と言えば、は帰る。


それが嫌で。
もう少しここにいてほしくて。


部屋に入るかって聞くだけ聞いてみようか。

そんなことでさえ、また警戒されるんじゃないかって迷ってたのに。


今は、俺の部屋にいる。
こうして、俺がキスしてる。



『わからないなら、確かめてみるか』



……なんて。
もっともらしいことを言ったが、俺がもう一回キスしたいだけだった。

あの人とのキスを思い出して赤くなってる顔を、見てるのが嫌だったから。


何かを決める時も。
迷う時も。

こいつの中から最初に出てくるのは、いつも五条先生だった。


俺がどれだけ近くにいても、どれだけ手を伸ばしても、届かない場所にいるみたいだったのに。

それが――。



『あの日から……先生のこと考えてるはずなのに、気づいたら伏黒くんのことまで考えてるの』



その場所に俺がいた。
ほんの一部でも。

隙間みたいな場所でも、初めて届いた気がした。


唇を離しかけると、が俺のシャツを掴んだ。
咄嗟に掴んだだけかもしれない。

それでも、が俺を求めてくれてるんじゃないかって。
勘違いしたくなるだろ、普通。


唇の隙間から舌を入れると、一瞬戸惑ったあと、も触れ返してきた。



「……ん、ふ……っ」



その声も。
ぎこちなく返してくる動きも。
シャツを掴んだ手も。

今は全部、俺に向いている。


そう思ったら、ほんの一部じゃ足りなくなった。


もっと俺を考えてほしい。
もっと俺を見てほしい。

迷うなら、俺のことで迷ってほしい。


俺の言葉で戸惑って。
俺に触れられて、どうしていいかわからなくなって。

俺の名前だけを呼べばいい。
俺のことだけで、揺れてほしい。
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