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【H×H イルミ 】黒と白のアリア 

第4章 残響に沈む


「それで」

間を置かず、イルミは言った。

「曲はどうだった?」

「……え」

ニナはゆっくり上を向く。

「言って。率直に」

逃げ場のない視線にニナは一瞬だけ視線を彷徨わせ、それから小さく口を開く。

「……その難しくて……正直、よく……分からない、です」

言い終わる前に、声が細く途切れた。



「ふーん」

イルミは視線を落とし薄い相槌を打つ。

「分からない、ね」

ニナの喉がわずかに動く。

「ニナってさ」

ゆっくりと視線が戻る。

「従順なフリして、適当だよね」

「……え?」

「“分からない”で済ませるの、楽でしょ」

ニナは言葉を失った。
何か言おうとしても、声が出ない。

イルミはそれを一瞥し、視線を外す。

「まあいい」

興味を失ったように、あっさりと切り上げる。

「歌わせれば分かる」

立ち上がりながら、イルミはついでの様に付け加えた。

「せいぜい早く治すんだな」

扉へ向かうイルミの足音が石の床に響く。
取手に手を掛けるとふと足を止め、振り返らないまま背中で言い落とす。

「倒れるような真似は、二度と許さない」

重い木の扉が閉まり鈍い音が、部屋に沈む。

ニナは堪えきれず、激しく咳き込んだ。
胸の奥が疼き、うまく息が吸えない。

(……許さない、って)

何に対してなのか、分からないまま。
ニナは喉に手を当てて、目を閉じた。
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