• テキストサイズ

色彩を拒んだ瞳に、最強の影を

第3章 傲慢な救済


あれから何度目かの壁外調査。
私の瞳に映る景色は相変わらず色彩を欠いているが、ただ一つ、リヴァイ兵長の背中だけは嫌でも視界に焼き付いていた。
巨人の手が鼻先を掠める。
恐怖はない。ただ、このまま握りつぶされれば、明日の朝7時の掃除をしなくて済むのか、と場違いな思考がよぎる。
「――おい、クソガキ!!」

視界が回転し、気づけば私は兵長の腕の中にいた。彼が巨人のうなじを削ぎ落としたのと、私を回収したのはほぼ同時だった。



「お前、自分が何をしたか分かってんのか」
低い声が、これまでになく冷たく響く。
「……避けたつもりでしたが」
「嘘をつけ。お前は今、あの巨人に自分を差し出した。……何のために俺が、毎朝お前の額を小突いてると思ってやがる」
兵長の瞳には、怒りよりも深い、何かを失うことを恐れるような色が混ざっていた。
私は初めて、自分の命が自分だけのものではないという、ひどく非合理的な事実に直面する。
/ 7ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp