第9章 【土方】傷跡まで愛する
近づいてくる土方の顔。
はそっと目を閉じた。
すぐに触れる唇。少し苦い味がした。きっとタバコの味なのだろう。
タバコなど何が美味しいのかと毎日のように思っていたのだがなぜだろうか、この味の虜になってしまいそうだ。
苦い舌がぬるりと口内を犯す。
「ん、はぁ・・・」
土「甘ェな」
「ふぁ・・・土方さんが、苦いだけ・・・」
土「フッ」
土方は鼻で笑うと、もう一度だけ触れるキスをする。
そしての服に手をかけ始める。
「や、いきなりっ」
咄嗟に土方の手を抑える。心の準備ができていないわけではなかったが、もう少しゆっくりするものかと思った。
土「怖がんな、全部見てやる」
「ぅ・・・」
少しずつ手の力を緩めた。すると土方の手が手早く着物の腰紐を解き、着物の合わせ目を開いた。下着はしっかり着けているが、ほぼ全て見られている。
「・・・っ・・あまり、見ないで」
土「・・・まだ見えてねェとこあんだろ。見せろ、全部だ」
「え・・・」
低い声で言う土方に、下着まで全て剥ぎ取られた。自分だけ生まれたままの姿。
その状況に顔に熱が籠ると同時に土方は自分の身体を見て何を思っているのかと不安にもなりとても複雑な心境だ。
土「・・・」
静かに見つめてくる土方に、恐る恐る声をかける。
「・・・幻滅しました?」
土「あ?しねェっつったろ。この傷まで引っくるめてっつー侍だろ」
「!!」
“侍”。
こんな時まで女扱いをしないのか。しかしその言葉がどれだけ自分を救ったか。
土「俺はの全てを愛してる」
泣きそうな顔で土方を見る。土方は「泣かせたいわけじゃねェ」と呟くと唇をの傷口に這わせ始めた。
「ぁ・・・」
鎖骨、腕、胸、腹部、腰、太腿
全ての傷を優しく癒すようにぺろりと舐める。
もう何をされても痛みは無いが、そこも性感帯になったようにビリビリする。
土「傷が増えたら言え。こうしてやる」
「増やしたくないけど、土方さんに癒やしてもらえるなら、それも良いかも・・・」
土「ククッ、随分素直に言ってくれるじゃねぇか」
もちろん本気で傷を作りないなど思っていないが、その気持ちが嬉しかった。