第9章 【土方】傷跡まで愛する
数人の隊士たちが喫煙所でまったりと世間話をしていた。話題はのこと。
「やっぱダメだった〜、さん俺のこと眼中にねェみてーだわ」
その隊士はに告白をしたという。しかし、撃沈した。
「お前もか。もう心に決めた人がいんのかな」
「どうだかな。局長たち武州組の古参メンバーは幼馴染みたいだから、そっちにいるのかもしれねーな。副長とか?・・・げ、ふ、副長。お疲れ様です」
丁度土方の話をしていた所、件の人物が隣のタバコの自販機にやってきた。
土「テメーらサボってねェで仕事しろ仕事」
「へ、へーい・・・」
「き、聞かれてねェよな?」
コソコソしながら去っていく隊士を、訝しげな顔で見ていた土方は、ため息をつくと自販機で買ったマヨボロをポケットに入れて踵を返した。
向かうは先ほど噂されていた人物の所。
土「あ?・・・近藤さん、どこ行ったか知ってるか?」
先程まで同じ空間で仕事をしていたのだが、いなくなっており近藤に居場所を聞く。
近「道場に行くと言っていたな。また稽古でもしてるんじゃないか?昔から真面目だからな」
それを聞くと、土方は道場へ向かった。
ブンッ
ブンッ
ブンッ
道場には竹刀が空を切る音のみ響いていた。きっとだけなのだろう、スッと静かに道場の襖を開けた。
は集中していたのか、静かに入ってくる土方に気づかず竹刀を必死に振り続ける。
何分そうしていただろうか。
はやっと手を止め、息を整え始めた。
滝のように流れている汗を拭こうとタオルを取りに踵を返した瞬間
「(ビクッ)ひ、土方さん!!いつからいたんですか!?」
土方がいたことに漸く気づき、肩を震わせた。土方はそんなに驚かれると思っていなかったようで、むしろ苦笑いだ。
土「随分集中してたみたいだな」
「・・・強くなるためです」
土「いい心掛けだが、無理すんなよ」
土方の言葉に、は自嘲した。そんなこと、できるわけがない。
土「何かに焦ってんのか?」
「・・・そんなこと無いですよ」
何かを感じ取った土方に問われると、はタオルで急いで汗を拭きシャワーを浴びようと急ぎ足で道場を出た。