第4章 感情線の混線
ラウンジのソファーに浅く腰掛けて、だらしなく投げ出した両足。脱力感が半端なくて、放っておいたらじわじわ開いてくる。もうパンツ見えてもいいから、力抜きたい、気も緩めたい。
スカートを選んだ今朝の自分をぶん殴りたくなって、醜態を晒す度胸もないあたしは、ゼロに近い気力で内ももに力を入れた。
夕方、午後6時。ついさっきまでぶっ通した体も頭も限界一歩手前。何もしたくない、何も考えたくない、のにそれでも思考は数字の羅列を追う。
あと500と少し。
最後の最後に気が抜けて、黒星が付いた詰めの甘さは悔しい。でも明日、明日で全てが終わる。長いようで短かったこの1週間、大学受験の時より集中したんじゃないかと思う。昇格したら絶対に焼肉連れてってもらおう。
自販機のいつものコーヒーじゃなく、カップのちょっといいやつを選んだのは前祝いだ。
あと30分ほどで着くからラウンジで待ってて。
迅さんからのメッセージを受信したのは15分前。手持ち無沙汰なこの時間をどう有効利用しようか。
数時間単位で空きができるならまだしも、中途半端すぎて動くに動けない。そもそも動く気力もないんだけどさ。
端末を弄るも集中できないし、そうかと思えば鞄の奥に常に入ってる読みかけの本は、開く気にもなれなかった。
視線は一点集中。かと言って見えてるものに興味があるかと聞かれれば答えは否だ。同じ訓練生が数人、座って話してるのをぼーっと視界に取り込んだだけ。そうして昼間のあの件を無意識に思い出してしまった。
何度味わってもクソ不味い。慣れるどころか大人になるにつれどんどん不快になる。腹のない子供とは違って、いろんな思惑が複雑に絡み合いながら入ってくるからどうしようもない。
あー、やだやだ。
ぶり返すだけでも堪えるのに、何がイヤって、入ってきた感情に自分も引きずり込まれるのが一番イヤだ。考えたって何も解決しないことぐらい百も承知。抗って消えてくれるならとうにやってる。それでもうじうじ悩むのは性格なんだから仕方ないよ。