第3章 色づいて、舞い踊る
「ねぇ、迅さん。やっぱりあたしはアタッカーに向いてないような気がするんですけど」
「花衣ちゃんほど適任はいないと思うよ?」
「どこがですか」
「そうだなー、すばしっこさと負けん気の強さ、あと太刀川さん譲りのやらしい攻め方も?」
「なんかそれ、褒められてんのか貶されてんのか分からないですね」
「めちゃくちゃ褒めてるでしょ」
腹の内が見えない笑顔でそう言われても鵜呑みにできないのは、なにも性格がひん曲がってるあたしだけじゃないと思う。
入隊式前日、太刀川さんの代役を引き受けてくれている迅さんとは今日で5回目になる。
あの人も大概スパルタだけど、訓練の合間の休憩中、食堂のテーブルの向かいに座ってるこの人もなかなかに鬼畜だなと思ったのは、2度目の模擬戦の時だった。
にこにこ笑ってぼこぼこにする辺りは太刀川さんよりタチが悪い。それにけっこう毒舌。
「どっちかって言ったら、出水くんみたいな位置のほうがやりやすいって言うか、怖くないって言うか」
「まぁ、シューターは後方支援がメインだけど花衣ちゃんには向かないかな」
「なんで?」
「機転が利かないし、頭もキレないから?」
ほらね。的確にずばっと痛いところを抉ってこられると、ぐうの音もでない。
そりゃ頭も悪いしすぐにテンパるけど、斬られるだけで血の気が引いてた最初の頃に比べると、随分マシになったんだよ、これでも。