第11章 足跡を追うな
「妙な話だね」
その場はそれで終わりになった。
親父は酒をぐいと飲み干すと「出よう」と言った。
じいちゃんの四十九日の法要が終わったあと、
程なくして、親父は死んだ。
会社からの帰り道、
野犬か何かに襲われたらしい、ということだった。
野犬?この街中で?
誰もが思ったが、獣に噛みつかれたような傷といい、
爪痕が残された皮膚といい、
何よりも内臓が食い荒らされている様子といい、
野犬としか言いようがなかった。
目撃者はいない。
遺体を前に、
母ちゃんは泣きはらし、
妹は呆然としていた。
俺は親父が話してくれたことを思い出して、
震えていた。
モノは、
じいちゃんの守りがなくなってすぐに
親父を喰いに来たんだ・・・