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かるら怪談

第10章 家が傾く理由


【家が傾く理由】

Kさん一家は、念願のマイホームを手に入れた。

中古物件であったが、日当たりもよく、駅からも程々の距離だったこともあり、思い切って購入を決めたのだった。

そして、家族4人で引越してきたのだが、1ヶ月程経った頃から、奇妙なことに気づいた。
これまでに経験したことがないような様々な困難に立て続けに見舞われたのだ。

まず問題が現れたのは5歳の長女だった。
夜、よく眠れないというのだ。

妻によると、寝ている時、
『出して、出して!』うなされては、
何度も起きてしまう、というのだ。

娘に聞いても眠れない理由はわからなかった。
悪い夢でも見ているのかと聞いてもみたが、覚えていないと首を振るばかりだった。

次は妻だった。
めまいや頭痛、吐き気を訴えるようになった。

そして、まだ歩き始めたばかりの長男は、フラフラとよく転び、怪我が絶えない。

こんなこと、今まではなかったことだったので、
最初は「新しい環境になったからだろう」
とたかをくくっていたKさんも、だんだん薄気味悪い気持ちになってきた。

『事故物件』

という言葉が頭をよぎる。

しかし、Kさんは自他ともに認める理科系の人間だ。
問題には必ず合理的な理由があるはず、という思いで原因を探ってみた。

まず考えたのが低周波騒音だった。
しかし、近くにそのような音を出す施設はない。
念の為、業者にも依頼してみたが低周波騒音は検出されなかった。

次に疑ったのは化学物質、ホルムアルデヒドの類であったが、それもなかった。
ところが、化学物質調査を依頼した会社の人が奇妙なことを言い出した。

「なんかこの家にいると気持ち悪いですね」

そこで、念の為、水平器で廊下や部屋を測定すると、
なんと、家全体がほんの少し傾いている事がわかった。

理由はこれだった。
傾きにより、平衡感覚が狂い、結果として自律神経系が乱れ、不眠や吐き気、ふらつきが生じていたのだ。
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